集成材と一枚板 — 同じ青森ヒバでも「作り」が違う二種類のまな板
同じ青森ヒバの心材から作るまな板でも、複数のパーツを貼り合わせる「集成材」と、継ぎ目のない「一枚板」では、性質も価格も変わります。それぞれの違いと、選ぶときの考え方について。
豆知識シリーズ、第20回。これまで青森ヒバという「木」の話を続けてきましたが、今月は商品としての まな板の作り方 に焦点を当ててみます。
Hiba Kitchen の商品ラインナップにも、集成材まな板 と 一枚板まな板 という二種類のまな板があります(一枚板は準備中)。同じ青森ヒバの心材を使っていても、作り方の違いで性質が変わります。
集成材とは
集成材まな板 は、複数の小さな板を 貼り合わせて 大きな一枚に仕立てる方式のまな板です。
たとえば縦240mm・横390mmのまな板を作るとき、一本の木からそのサイズが取れない場合でも、幅50〜80mm程度の細い板を5〜8枚並べて、繊維方向を揃えて接着剤で貼り合わせれば、求めるサイズが作れます。
このときの並べ方には工夫があります。木材には 板目(いため) と 柾目(まさめ) という、繊維のとり方による違いがあります(次回詳しく扱います)。集成材では、これらを 交互に組み合わせる ことで、それぞれの面の長所を引き出し、短所を打ち消し合うように設計されています。
集成材の長所
集成材まな板の主な長所は次の通りです。
- 軽い:複数の小片の組み合わせなので、木材を最小限の量で利用できる
- 反りにくい:板目と柾目の交互配置で、湿度変化による反りが相殺される
- 割れにくい:継ぎ目があることで、応力が局所的に集中せず、大きな割れに発展しにくい
- 入手しやすい:心材の細い切れ端を有効活用するので、歩留まりがよく、安定供給が可能
- 価格が抑えやすい:歩留まりがよいので、結果として価格も現実的に
毎日台所で使う道具として、これらの利点はとても実用的です。Hiba Kitchen が最初の商品として集成材まな板を選んだのは、こうした実用性ゆえです。
一方、一枚板とは
一枚板まな板 は、一本の青森ヒバの幹から、継ぎ目なく一枚で切り出されたまな板です。
樹齢200年以上の大径木の心材から、求めるサイズが取れるだけの面積を、無節で割れのない状態で切り出す。これができるのは、ヒバの森のなかでも特に状態のよい大径木に限られ、しかも木取りの段階で 歩留まりが極端に悪い という制約があります。
一本の木から、まな板用の一枚板が 何枚取れるか は、樹齢や直径によって変動しますが、現実的には数枚〜十数枚程度。これに対して、同じ木から集成材の素材になる小片であれば、その数倍を取り出せます。
一枚板の長所
それでも一枚板を選びたい、と考える理由はあります。
- 継ぎ目のない木目 の連なりが、視覚的に美しい
- 心材の香り をそのまま、より強く感じられる
- 一本の木の 個体差そのもの を、一枚に閉じ込めた贅沢
要するに、一枚板は 「素材そのものの存在感を楽しむ」 ためのまな板です。実用性で集成材を上回るわけではありませんが、青森ヒバという素材に対する敬意を、形として表したものとも言えます。
どう選ぶか
選び方の指針としては、おおよそ次のようになります。
集成材を選ぶ理由:
- 毎日ガンガン使う実用的なまな板が欲しい
- 軽さ、反りにくさ、扱いやすさを優先したい
- 価格を抑えつつ、青森ヒバ100%の素材を楽しみたい
- 数年から十数年スパンの実用品として位置づけたい
一枚板を選ぶ理由:
- 木目の連なり・香り・個体性そのものを楽しみたい
- 贈答品として、特別な意味を持たせたい
- 大切に使い続けるための「うつわ」として、ひとつ持ちたい
- 限定生産・希少という事実を含めて、所有の喜びを大事にしたい
両方持つ、という選択肢もあります。実は、まな板に詳しい方の中には、「日常用の集成材」と「特別用の一枚板」 を使い分けている、という方も少なくありません。集成材は気軽に使い倒し、一枚板は来客時や記念日の調理に。同じ青森ヒバでも、二つの顔を楽しめる素材です。
Hiba Kitchen の現在地
現時点では、Hiba Kitchen の販売中商品は集成材まな板(39×24×2cm)のみ。一枚板まな板は、近日リリースに向けて準備中という段階です。供給量の制約から、一枚板は少量ずつのご案内となる予定ですが、ご興味のある方は、サイトの新着情報をぜひチェックしていただければと思います。
次回は、集成材の話に何度か出てきた 「板目と柾目」 について、もう少し詳しく解説します。
— Hiba Kitchen